story

グッドナイト

「ねえ、」小さな声で呼ぶと、彼は少し眠たげな顔でわたしを見た。「どーしたの」呆れているせいか、それともただ眠いだけなのか判断し兼ねるいつもより鼻にかかった声で彼が問うた。優しく頭を撫でながら。「どうして人の気持ちって変わるんだろう」わたし…

RAIN DROPS

突然降り出した雨、最悪の結末。天気予報なんてチェックしていないから、今日雨が降ることなんて知らなかった。さっきまで晴れていたのに、突然大粒の雨がポツリポツリと降り出し、街行く人は雨宿りしたり、コンビニで傘を買ったり雨を逃れるために必死だ。…

さよならのカウントダウン

どうして楽しい時間は過ぎるのがこんなに早いんだろう、そんなことをぼんやり考えていた。苦しくてつらい時間はあんなに長く感じるのに。好きな人と過ごす時間は、まるで一瞬の魔法のように過ぎて行ってしまう。今こうして繋いでる手も、あと少ししたら解か…

レースカーテンの向こう側

ベランダに出る大きな窓の側にちょこんと座って見向きもしないわたしを気遣うように「ココアでも飲む?」と彼は言った。わたしは、わざと不機嫌そうな表情で「要らない」と言葉を投げ捨てた。ふう、と溜息をついた音が聞こえた。レースカーテンの向こう側に…

アイスティー

「何か頼んだら、」と彼が言ったので、アイスティーを注文した。うっすら汗をかいているグラスにそっと視線を落とす。別に特別これと言って話したいことなんてなかった。離れているときは話したいことがたくさんあるような気がするのに、いざ本人を目の前に…